にいってきました

2005年9月11日 訪問

花博の守護神、クロツラヘラサギの像です。
あのくちばしで不心得者に天誅を下すのです。(大嘘)

会場への臨時バス(天神からの)時刻表
地下鉄の場合は「千早」「貝塚」両駅から無料シャトルバスが出ているそうです。(平日20分間隔)

むちゃくちゃレポートby 青

全ての写真は待雪草さん撮影です

前口上〜

 2005年9月11日開幕して間もない「アイランド花どんたく」に行ってきました。 同行はMaryさんと待雪草さん。と言うよりも私の場合、おふたりに便乗してくっついていったと言うのがより正確であります。よって下調べ満点のおふたりに比べて、私は予備知識ゼロの状態での参加でした。それもまた先入観ナシの状態で見られて良いんじゃない?とは己のいいかげんさを弁明する格好の言葉でありますな。

 ところで、先入観ナシとは申しましたが、実は私この「花どんたく」なるものに全く期待していなかったんです。といきなりむちゃくちゃな発言をします。その理由は

1 もともと「どんたく」なるものが好きでない。折角、日本で一番美しい季節に、町中を騒乱と叫喚の地獄と化し、交通網を麻痺させ、つかの間の安らぎを求める庶民の静謐を乱す悪魔の行事。

2 まだまだ暑い9月の始めに開幕すると言うことは、夏の盛りに開催準備する訳で、植物は無論、設営する側にも大変な負担となる。それに加えて、見学する方も暑くてたまらない。最後に個人な好みとして、夏秋の花には、春咲きの花程の魅力を感じない。(これはただのわがまま)

 これじゃ先入観ナシどころか偏見度200パーセントであります。こんな状態で果たして花博を楽しめるのか? まあ、サイテー線からスタートすればこれ以上下がない、と言うことで…。駄目?

会場

会場は例の物議をかもした「アイランドシティ」。開催の前から話題で一杯なあそこです。

その1 「ラムサール条約」に登録された水鳥の飛来地、和白干潟を埋め立てることによる環境保護団体他心有る人々の非難を浴びた

その2 ケヤキ・庭石問題で知られるお役所と業者の癒着、汚職

その3 ここに建設される住宅の宣伝に宮崎何某監督の絵を無断借用したことによる騒動

とさまざまな話題があっただけに期待度もひとしおです。

 会場には、福岡都市高速の下をくぐり、香椎かもめ大橋、香椎アイランドブリッジを経てアイランドシティに入りました。このあたり、近年埋め立てられたところで荒涼とした空き地が続きます。その中に忽然と姿を現した花博会場。周囲は見渡す限りの青空駐車場。まず最初に感動したのはこの駐車場の広さでした。本当にこんなにお客集まるの? 

 私たちが入ったのは「どんたくゲート」。入って左右に花苗の市が出ています。思わず寄りたくなるけれど、ここでいきなり罠にはまったら道中が大変なので、お買い物は最後にしましょう。

 どこからともなくどんどこどんどこと原始人のお祭りのような音リズミカルなサウンドが響いています。このクソ暑いのに残暑厳しい中何やっとるんじゃと思ったら、右の方にあるステージの出し物のようです。この音がどこまでも追いかけてきて、ただでさえ暑いのに、もうやめてくれーという感じですな。前方に巨大な建物があり、食べ物の臭い匂いがただよってきています。ここは闇市カフェテリア兼ガラクタお土産コーナーで、怪しげなエスニックなアジア風の食べ物屋が出店しています。どうせなら西洋風の食べ物も置いて欲しいものです。ばらばらにお買い物に行った私たち3人が皆同じ店のカレーを買って帰ってきたということは、このエスニックフードがどの程度一般のお客さんに支持されているかの指標となるのではないでしょうか。まあ、価格的には「ちょっと高め」程度で、「不当な価格」と言う感じはしませんでしたが。会場内で買ったお弁当をこの巨大テント内で食して宜しい(考えれば当たり前ですが)という点は好感が持てました。また、この巨大なカフェテリアは貴重な日陰を供していたし、悪天時の避難所としても役立ちそうです。

青いバラ

 今回、全員が楽しみにしていたのは勿論、博覧会の一番の呼び物「青いバラ」です。サントリーが14年かけて開発した遺伝子組み替えによる青いバラが初めて一般公開されるのです。(何だか営業風だな、この書き方。) 

 しかし、私は例によってへそまがりなので、あまり期待していませんでした。と言うのは

1 遺伝子組み替えというのは科学者の領域であって、育苗家のすることではない。そんな罰当たりなことをしたら、ご先祖様がお怒りになるでしょう。

2 青くても美しくなければ意味がない。最近発表された青いバラ(淡色)は「病的に青ざめたような色」で濃い青は腐ったような色に見える。従来の青バラ「ブルームーン」などの自然な美しさが感じられない。

3 初日は入場に行列が出来ていたと言う。並ぶのはキライ。

という訳であんまり期待しないで見に行きました。

 入り口には少々列が出来ていましたが、スムーズに流れていました。この程度なら良し。入ってすぐ、大量に展示されていたのは青いバラに先駆けて開発された「青いカーネーション」。2色、ことによると3色? 淡色と濃色の対比がきれいです。ただし、この色がいわゆる「青」かと言うとかなり無理があり、淡いものはライラック色、濃いものは青紫というには少し赤みがある紫くらい。ともあれなかなかきれいです。右手にはガラス管に入った培養組織などの展示。ホムンクルスかい、これは?

青いカーネーション。実物はもう少々赤みを帯びています。

 そしていよいよ、青いバラとのご対面となりました。ここは写真撮影禁止。バラは二重のガラスケースの中の数本の切花で、温度湿度は厳重に管理されているようです。肝心のその色は、開きかけの若い花は淡い灰水色で、もっと開くと多少赤みがかったライラック色に変化します。色彩としては、最近の青バラに多く見られるような病的な色彩ではなく、素直に美しいと言える色合いだったので安心しました。しかし、その一方で、「遺伝子組み替えと言う仰々しい技術を使っている割には普通に交配された青バラとそれ程変わっているようには見えない」のでした。色素の成分は全く違っているのでしょう。でも、見た目は殆ど同じです。ガッカリはしませんでした。安心しました。へんな色でなくて良かった。この青バラは会期中、新幹線に載って京都から届けられるとのことです。

 忘れるところでした。パネル掲示されていた説明について気になったことがあります。イングリッシュローズをひとつの系統であるかのように取り上げていましたが、イングリッシュローズはデイヴィッド・オースティン社作出のバラの商品名なので、こうした分類の仕方は適切ではないでしょう。このことは、バラに関心がある人には周知の事実ですが、バラに詳しくない人々に誤まった情報を与えることになると思います。イングリッシュローズはあくまでもモダンローズの一種なのです。

変化アサガオ

 次に探したのが変化アサガオの展示。ここに来る以前に見せて頂いた九州大学の研究室の展示です。ところが誰に聞いてもこの展示がどこにあるかわからないのです。青いバラの展示は探さずともわかったのに、捜し求める変化アサガオの所在を誰も知らない。散々うろうろと歩いた結果、第三テーマ館にあるらしい(消去法で考えた結果)ということになり、ようやく探し当てました。そのようにしてたどり着いた変化アサガオのコーナーはごく小さく、しかもガラスの天井越しに差し込む光がかなり強く、暑い。花の為にもう少し遮光しても良いのではない? 朝方、大学で壮麗なアサガオの列を見た後なので、折角の展示にもそれ程感動出来なかったのが残念ですが、この展示も日々良い状態のものと入れ替えられているとのことです。待雪草さんはここでにわかボランティアガイドと化し、やってくる人々に変化アサガオの歴史を熱く語っておりました。

飾り付けにも江戸情緒が溢れています。
毎日、状態の良いものに入れ替えられていますが、
変化アサガオを見たことがない会場のスタッフが
開いたばかりの花を花殻と間違えてむしってしまうのがにた先生の悩みの種とか。(マジ)

ガレ展

 この時期の特別展示、エミール・ガレのガラス作品。実は私はこのジャンルの美術はあまり関心がなくて、こちらも予備知識ゼロで行ったのですが、なかなかシュールユニークでへんな味わい深い作品群でした。ただ、何というか色彩的にかなり落ち着いた感じのものが多いので、こんなにクソ暑い残暑厳しいときではなく、もっと秋の涼しい頃の方が更に味わい深かったように思えます。

 個々の作品は見事ですが、惜しむらくは素通しのガラスケースの中にあるので、ケース越しに進行方向の展示が先に見えてしまい、更に向こうを歩いている入場者たちの姿も全部目に入ってくる。この先に何があるかわからない方が期待度が大きいのに、とこれはMaryさんの意見でした。通路の真中に白いついたてでも立てて、向こうの展示まで見えないようにした方が良かったのではないでしょうか。作品が見事なだけに展示方法が惜しかった。

庭について
以下の分類はあくまでもシロートの分類であり、本当のところどう分類されているのかは知りません。

業者の庭(企業、会社の出展)

 業界の人に聞いた話ですが、ここに出展する為には経費が200万くらいかかるそうです。本当か? その割にはショボかった。区画が埋まっていないところすらある上、中には植え付けた苗がごっそり枯れているところ、植栽にぽっかりと穴が開いているところもあり、なんなのこれは、と言うものも多かったのでした。勿論、ちゃんとしたところもありました。あ、これは当然か。

個人の庭

 あくまで趣味で楽しんでいるということを前提にして、世界平和の為にコメントは差し控えた方が無難でありましょう。

へんな庭(ゲージュツ家の庭?)

 何故か巨大なクロツラヘラサギの像がラヴリーでした。怪しいのは巨大なヤギの頭部の彫像。この周囲で黒ミサでも開く気なんでしょうか。廃墟庭園をイメージしたらしい小さな庭は、どう見てもモーゾリアムにしか見えず気色悪かったです。

 

サボテンをびっしり植え込んだ原住民の小屋。
出入り口の両側にもサボテンが迫り、
太ると出入り出来ないという戒めです。(大嘘)
青くんはとても入れませ〜ん。 (←やせろよ)

この庭なかなかお洒落だったんですよ。特に牙をむき出すイノシシ(たぶん)がラヴリー。

全体について

どのゲートから入るのが良いか?

 私たちが入った「どんたくゲート」はメインゲートではないようです。土日、祝日に開くとあるので、通常は「山笠ゲート」から入場するのが普通のようです。こちらから入ると、3つのテーマ館の出口に次のテーマ館の入り口がある訳で、順繰りに見てゆけます。しかしながら、私たちのようにどんたくゲートから入ると、青いバラのある特別展示室の入り口は簡単に見つかるものの、それ以降の動線がめちゃくちゃになります。青いバラを見た後、隣り合った右側の戸口は何?と思ったら、ここは隣の館(探していた変化アサガオはここにあった)の出口で、この入り口を探す為に巨大な建物の横をちんたら歩く羽目に。人がぞろぞろと歩いていくのでなんだろう、と思ってそこに行きかけたら、係が「ここは屋上展望所だけの入り口でーす」と叫んでいたので、思わず帰って来ちゃいました。「展望台って行く?」「全体の景色が見られるかも」「で…ガッカリするだけのような気がする」で、全員退却。いえね、とにかく暑くて高いところに上がるどころじゃなかったんです。だってお日様に近いところに行ったらもっと暑いもん、きっと。
 話ずれましたが、私としてはやはり「どんたくゲート」から入るのがショップにも食べ物屋にも近くて便利だと思います。展示館の入り口については、仕方ないけれど。

全体の景観

 植栽が元気ない。植え込まれて日が浅いせいか、夏の暑さのせいか、傷んでいるもの、枯れているもの、更にはまだ植え付けられていない個所も少なからずあり、これにはガッカリさせられました。色彩的には季節柄か、黄色やオレンジ系の花色が目立ち、暑さを際立たせている感じ。もっと爽やかな涼しげな色彩が欲しいものです。

と言いつつ、この日気に入ったもののひとつ。ガーベラ「UFOオレンジ」「UFOイエロー」の切花。これは本当にきれいでした。つまりは、きれいなら良いんです。

改めて見ると植栽がショボイ…。

 中央にある巨大な池は涼しげで良かったのですが、池との間に大きな植え込みがあり、池に沿って水辺を散策できないのが残念。水辺に近づけるところがなかったわけではなく、その辺りは良い雰囲気でした。

騒音問題

 何故かこのような博覧会には必ずと言って良い程屋外ステージがあり、さまざまな騒音出し物が企画されているようです。折角の広々とした空間があり、自然の風や光を楽しめる筈の場所で、どうして頼んでもいない騒音を押し売りするのでしょう。企画をしたいなら、防音設備がある屋内ステージでやって欲しいものです。花博にはあと1回行くと思うけれど、日程は「ステージの催しがない日」を選ぶことにしようと思います。ラジオ放送の拡声器にも頭痛くなっちゃった。とんでもない時に走り回る山笠の人たちにもびっくり。(こちらは炎天下ご苦労様でしたが。)盛り上がることと大音量で騒ぎ回ることは別だと思うのですが、このふたつの区別がつかない人があまりに多いと思います。私としては公共の場所で得られる静けさこそが最高のサーヴィスであり、また贅沢でもあると思うのですが、少なくとも主催者側はそう考えてはいないみたいです。

併設企画

 現在開催中のガレ展や今後予定されているボタニカル・アート展など、よその会場では単独の企画を盛り込むのはあまり頂けません。例えばボタニカル・アート展だけ見たくて花博には興味ない人も、遠距離まで通わされた挙句高い入場料取られることになります。せめて企画物だけの入場券を別途発売するなりすれば良いのにと思います。

お店について

 福岡の平田ナーセリーはじめ、幾つかの業者が花苗の販売をしています。実はここで新種のカーネーションのポット苗を4種(350円と450円各2ポット)買って帰ったのですが、翌日近所のホームセンターに全部300円で並んでいました。今日入荷したばかりとのことですが、なーんだちぇっと言う感じ。

 

 

これがそのカーネーション。でもきれいなので気に入っています。

別のお店で売られていた「カンガルーポケット」(和名フクロカズラ)なる奇妙な植物。
学名
ディスキディア・ペクテノイデス(Dischidia pectenoides)
ぷっくりと膨れた袋の中からつるが伸びて、どんどん育っていく。
小さい赤い花がつきます。興味しんしんで店主の口上を聞いたのに、
誰一人買わなかった薄情ものの私たちでした。

今後への期待

 折角このような大規模な公園を作ったのだから、ここを会場としてフラワーショーなど開催するのは如何でしょうか? 別に大それたことは望みませんが、チェルシー・フラワーショーかハンプトンコート・フラワーショーくらいの規模だったら文句は言いません。

入場料だけの価値はあったか?

 今回、頂きものの券で入場したのにこんなことを言うのも何ですが、値段(大人前売り料金1200円、当日料金1500円)に見合うだけのものが見られたかと聞かれたら、否と答える方が正直でしょう。そうですね。今の段階では入場料400円の海の中道海浜公園の植栽の方がずっと美しいと思います。(と言っても、去年の秋の訪問が最後で、その時は台風でズタボロになっていましたが、それ以前の記憶に基づいています。あと、少し前にリニューアルした部分はあまりいただけませんが。)目新しいと言う点を考慮して前売り券800円、当日値段1000円くらいが妥当ではないでしょうか。

 はっ、これでは全然宣伝にならないじゃん。しーらないっと。

色々なトピアリーがありましたが、これはなかなか傑作だと思います。


これなんかも可愛かった。浜名湖花博に出したものの再展示だそうですが、
一回しか使わないのはもったいない。このシリーズ、他にも沢山ありました。

変化アサガオを見学してきました へ

(2005年9月14日 作成)

 

 

特別ふろく(写真撮影 Maryさん)

悪魔の祭壇

会場の一角には黒ミサの為の祭壇もありました。
これはご神体のヤギの頭です。(大嘘です。本気にしないように。)

 

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