Lytes Cary

ライツ・ケアリー

ナショナル・トラスト所有

2001年6月27日訪問

所在地  イングランド南西部 サマセット
お勧め宿泊地  ヨーヴィル
(ロンドン、ウォータールー鉄道駅からエクセター方面行き列車にて、ヨーヴィル・ジャンクション下車。2時間程度。)
公共交通機関 ヨーヴィルからのバスは一日一往復。それ以外は比較的バス便があるキングスドン村から歩くか、タクシーを利用するしかない。
公開日(2001年度) 4月2日から10月31日まで、水、土の2時から6時。
6、7、8月には金曜も。

週に2、3日、それも午後の一時しか開かない、幻のマナーハウス、ライツ・ケアリー。アクセスも難しいだけに、好奇心をかきたてられる「秘密の花園」。

ジ・アレグザンドラ・ローズだったと思うが、ことによるとヘヴンリー・ロザリンドだったかも(頼りない)。

 

ライツ・ケアリーに着くまで 

 ライツ・ケアリーだけなら、ヨーヴィルからは13時30分発、14時08分着のバスを利用するのが良いのだが、 この日は午前中、バスでモンタキュート・ハウスを訪れた後、タクシーでライツ・ケアリーに向かう。電話で呼んだタクシーは約束の4時30分丁度に来た。車体には会社の名前があるが、上に何のサインも載っていないのだ、変だと思って尋ねると、尋ねたら盗まれたのだと言う。スペアがないのでそのまま走っているそうだ。面白くて陽気な人で、20年前にはトラストにいて、今でもメンバーだそうだ。料金は14£とかなり高かったが、5時10分前に着いたので良いか。

 タクシーは道路を右折して、私道に入る。右手に牧草地が続く少し登り気味の道だ。帰りは近くの村まで歩くつもりなので、しっかりと景色を眺めて確認。私道に入ってからが長いと、それだけ歩く距離が長い訳なので、ちょっと嫌だ。

 

ライツ・ケアリー

  ライツ・ケアリーは14世紀まで歴史が遡る小さなマナーハウスで、古色蒼然とした建物だ。敷地に入ると建物は右手方向、左手に面白いトピアリーの庭が見える。小さいながらグレイトホールもある雰囲気満点の建物だ。歴代の国王のエッチングが暗い廊下に並んでいる。イングランドのエリザベスとスコットランドのメアリーが並んでかかっている。メアリーの背後には骸骨が覗き、前には折れた王笏と首切斧。一方エリザベスの背後には不死鳥。ふふん、随分手前勝手な絵だな。(チューダー朝嫌い。)チャールズ1世、2世、その兄弟で早死にしたグロスターのヘンリー。1世の兄のヘンリー王子などもある。

 館に付属している小さな礼拝堂の右上の壁の隅に黒い骸骨のような絵がある。中世のメメント・モリの名残だろうが、なんか気味が悪い。

Memento mori(死を意識せよ)、中世の宗教の合言葉。オークニー諸島のカークウォールの聖マグナス教会の墓石にごまんと刻まれていたのを見たが、ここでは髑髏が素朴であまり恐くなかった。

東(正面)から見た館。このトピアリー群、サイコー。
巨大サイズで見たい人は
こちら。100キロもあるの。ごめん。
南側から見た館。傾いているのは館ではなくてカメラのせい。
満開のバラ、ではなくて八重咲きのケシです。 種種の花が満開の混植ボーダー花壇。
素晴らしいトピアリー群。右手にちらりと見えるのは門。 小さな庭だと思ったら意外に贅沢な空間が取ってあった。ご存知イチイの壁。正面にはベンチが。

ここはどこだっけ? 緑一色なだけに距離感がある。 オールドローズのロサ・ムンディがこんな大株に。

東正面の向かって左側の張り出し窓。左側はチャペルの入り口。 確かバラはイングリッシュローズだったような。

開かずの門を通して望む東正面。妖気漂う館(嘘です)。 銅葉が印象的なボーダー花壇。

 庭はなかなか素敵。バラが満開だ。ジ・アレクサンドラ・ローズ(へヴンリー・ロザリンド?)が咲き始め、ロサ・ムンディは満開。沢山のピンクの八重のケシが実に豪華。まだ殆ど咲いていないヒペリカムがあったので、これからは庭に黄色が加わって、また雰囲気が大きく変わるだろう。植え付けたばかりのラヴェンダーは、何年か経たないと本領発揮とはいかないだろうが、それだけに今後の生長が楽しみだ。ホワイト・ガーデンはあまりぱっとしないが。

 あまり知られていないせいか、訪問者が少ないのもまた結構。閉園の6時まで粘って最後に出た。車で来ていたらしい何人かの人は既に帰ったらしく、もう誰もいない。入り口のドアが閉まっていたので鍵をかけられたかとどきっとしたが、ちゃんと開いた。

 一旦帰りかけて気が変わって戻り、苗売り場の奥にあったトイレに寄る。外に出たら、丁度トイレの前に車が停まって女性が下りてきた。この人もトイレかと思ったら、鍵をかけにきていたのだった。もうちょっと遅かったら閉じ込められていたかも。危ない所だった。

 

帰路 ヨーヴィルまでの長い道

 問題なのは帰路である。ライツ・ケアリーからヨーヴィルまでのバスは日に1便しかなく、それも既に出ている。帰りは最寄の村のキングスドンまで歩き、そこでタクシーを調達して、イルチェスターに向かい、そこからバスでヨーヴィルに戻る、という計画を立てていた。真っ直ぐタクシーで戻らないのは、料金の関係である。

 左手に緑地を見つつ長い坂を下り、道路と合流した。バス停があったので念の為に調べたが、やはりバスはなさそうだ。6時15分頃、キングスドン、4分の3マイルの標識がある脇道に入る。道は途中上りになったが、別に何事もなく村に着いた。村にくればパブで休憩がてら、タクシーを呼んで最寄の町まで帰れる筈。ところがパブは愚か、教会も見つからない。うろうろと歩いた。教会があったので行ってみたが、パブはない。ようやくパブのサインを見つけたので、それに従ったら、ぐるっと道を回って上った道を下がってきてしまった。なんなんだ、この道は。

この時の道の探し方であるが…、村の中心には教会がある、教会の前にはパブがある、との常識(?)に基づいている。

 小雨も降り始め、辺りは少々薄暗くなってきた。何だか心細くなり始めた頃、ようやくパプを発見。中に入ろうとしたら、2匹のでかい犬が吠えながら走ってきた。女性が出て来て犬どもを追い払ってくれたが、まったくなんてパプだろう。時間が早いのか、他に客は誰もいない。1£払ってバーン・アウル印のビターを貰い、イルチェスターまで行きたいのだが、タクシーを探していると言うと、別の女性(客ではなくて家族か友人らしい)が車で送ってくれると申し出てくれた。イルチェスター7時35分のナショナル・エクスプレス(長距離バス)でヨーヴィルに戻るつもりだった。ところがこの女性、彼女もヨーヴィルまで戻るので乗せていってくれると言い出したので、好意に甘えてしまった。結局、彼女は宿の前まで送ってくれたので、本来ならまだバス停に立っている筈の時間に宿でのんびり出来たのだった。実はこの前日も、バーリントン・コートから近くの村までパブで出会った男性に送って貰ったばかりであり、田舎の人の親切さをしみじみあり難いと思った。

 

丘の上に見えるのがキングスドンの村。 こちらをじっと見詰めていた村の猫。

放し飼い(野生?)の鶏。なんか凄い。 ようやく見つけたパブにあったメンフクロウ印のビター(ビール)。

 

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