Iford Manor

アイフォード・マナー

個人所有

2001年6月30日訪問

(2003年1月25日追加)

所在地  イングランド南西部 ウィルトシャー
お勧め宿泊地  ブラッドフォード・オン・エイヴォン
(ロンドン、パディントン鉄道駅からバース乗換えで2時間程度、
またはロンドン、ウォータールー鉄道駅からソールズベリ乗換えで2時間程度。)
公共交通機関 多分なし。タクシー利用が良い。
公開日(2001年度) 土曜を除く12時から5時半。

 イギリスでも人気の観光地バースの近郊にある。この周囲には美しい庭が多いので愛好家にはお薦めだ。ブラッドフォードはかつて紡績で栄えた町。観光ずれしたバースのすぐ近くにありながら、閑静な落ち着いた雰囲気なので、宿泊にはむしろこちらをお薦めしたい。バースの物価の高さはイギリス人の間でも悪評高い。

宿からアイフォード・マナーまで

 アイフォード・マナーに行きたいのだと言うと、女主人、今すぐに行くなら車で送ってくれると言うので、好意に甘えることにした。

 2時50分頃、出発。ごく近くだと思っていたが、道は意外に遠い。途中で標識を見失って引き返し、馬に乗った女性に道を尋ねた。元の道のまま直進して良かったのだった。馬に追いついた女主人、手を挙げて挨拶する。クラクションを鳴らさないのは、馬が驚くからだそうだ。成程。

 道は随分細くなった。殆ど谷のような狭い道を下ってようやくアイフォード・マナーに到着した。右手に入り口がある。今まで右手に続いていた長い石塀の向こうはマナーの敷地のようだ。左手にはきれいな小川が流れ、橋がかかっている。のどかな田舎の眺めだ。

 

アイフォード・マナー

 開いている門をくぐると目の前に建物が現れた。右折して建物を左に見つつ、次の門を抜けると、左手にサマーハウスがあり、ここで入場券とガイドを売っていた。傍らにお茶なども用意している。ここがティールームなのかな。

アイフォード・マナーの門前。 庭への入り口をくぐると… 左手に古びた石段が。
カンパニュラが花盛り。 ハニーサックルが満開。 円柱に絡む原種の薔薇。
これはジギタリスの仲間。 ラヴェンダーが咲き始めていた。 テラスの端にあるコーナーの一対のトピアリー。さり気なくヘンな形。
庭の背後は樹木が生い茂った丘で、風が吹くと葉ずれの音が凄まじい。 危険なので登らないでと書かれた階段だが、上に人がいるのを見てこっそり登ってしまった。ゴメン。上にはエドワード7世を記念する円柱がありました。 魔笛」のパパゲーノの像。♪「おいらは鳥刺し

 目の前にカンパニュラで覆われた石段があり、その奥に階段状のテラスが続いている。聞いていたように花で一杯の庭ではないが、彫刻とテラスのイタリア風の庭で、独特の趣がある。日差しが強く、また風も強い。すぐ傍らに森が迫っているので、強風に揺さぶられる木の葉の音が絶え間なく響き、胸騒ぎを誘うような感じだ。正にゴシック・ロマンスの舞台効果のよう。左手に見える館は改築の最中。この庭で一番印象的なのは、庭の反対の端にあるクロイスターと名づけられた建物だろう。(クロイスターは寺院などに設けられる回廊のこと。)

クロイスターの外観。 傍らの大鉢。 入り口から中を眺める。
クロイスターの中庭。 左に同じ。 柱にはかなりヘンな人面?獣。

  地図を見ると、入り口近くにティールームがあるので行ってみたら、工事に伴い閉鎖されていた。サマーハウスにあるのが臨時のティールームらしい。屋外なので気分が良いが、座れる場所を探すのが大変で、お茶を抱えたまま随分遠くまで歩いてしまった。

   
   
派手なペチュニアの鉢植えはあまりこの庭にはそぐわないが、イギリス人てこういうのか好きなんだよね。 石段の上から見下ろす。高低差があるので足元にご注意。
庭の端にある東屋の洒落た建物。 ナント日本庭園が設けられていた一角。左側の灯篭には寄進者の名前が書いてあった。本物だあ。一体どこから持ってきたの?

 家の傍らに凄く美しい長毛の猫が歩いている。写真を撮ろうとしていたら、家の人が出てきた。リリーという名で17匹の子猫を生んだと自慢していたので、従姉妹の家の猫は50匹は生んだと答えた。写真が出来たら送ると約束した。(後日、リリー宛に送ったら、リリーの名前で礼状が届き、リリーの子供たちの写真も同封されていた。)

 5時に閉まる筈だが、みな結構のんびりとしている。今頃になってやってきた人がいて、断られるかと思ったら、5時15分などと話しているので、まだ良いのかも知れない。

リリーの写真はGothic Museumの「英国庭園にゃんこ2001」act.2を見てね。

アイフォード・マナーからブラッドフォード・オン・エイヴォンまで

 5時20分頃、マナーを後にする。館の前に流れる川に古風な橋がかかり、辺りの緑と相俟ってなかなか趣がある。この辺りにたむろしている人々が結構多い。まだ日は高く、眩しい。そして今日も天気が良いこと。

 元来た坂道を登って戻り始める。左手には館の塀が続き、塀の向こうには庭のオブジェなどが垣間見える。右手にも塀が続いていて、切り通しのような道だ。道には馬の落とし物が沢山落ちている。上り坂は随分急だ。

 20分程歩いて、道はようやく平坦になった。左手にThe New Innというごく目立たぬパブがある。あまりに暑いので、ここ休憩することにする。店は開いているが、客は私ひとり。サイダーを頼んで座っていると、主がしきりと話しかけてくる。怪しい奴と思って警戒していたら、実はなかなか親切な人だった。明日、バンベリーに行くと言ったら、電話をかけて列車の時刻まで調べてくれた。

 ここでしばらく時間を潰したので辺りは随分涼しくなった。だが6月の日はまだまだ長い。パブの主はブラッドフォードへは最初の角を左と言っていた。ところが、その問題の三差路に着いて見ると、2方向の標識はちゃんとあるのだが、肝心のブラッドフォードの名を書いたと思える標識が折れてなくなっている。うーん、これに違いないと思うのだが、こうなるとちょっと迷ってしまう。半信半疑で歩いているうちに、先程通った場所が現れた。そのうち、眼下に町の眺めが開けてきた。途中、運河の傍らを通った。珍しいので眺めたりしてますます遅くなり、7時10分頃、ようやく町に到着した。

アイフォード・マナーの外で見た古い郵便ポスト。前国王ジョージ6世時代のもの。 運河の水門。遠景にナロー・ボートが見える。

 鉄道駅に寄り、明日の移動に備えて汽車の時間をチェック。その後、宿の場所を確かめに戻るが見つからない。宿探しは後にして、中心街のパブで食事をしようと覗いてみたが、最初に見た店は何だか雰囲気が悪く、別のパブに入る。キングス・アームスという良くある名前だ。女主人がメニューをくれたので、考えた末、ビターとカンバーランド・ソーセージを頼む。全部で6£くらい。出てきた料理を見てびっくり。とぐろをまいたう●このようなものがマッシュドポテトの上に載っていた。見かけに寄らず?美味。だが、味が濃く、量も多くで残しそうになったが、勿体ないので頑張って食べた。

 この店で地図を確認して、先程宿が見つからなかった訳が判明した。もっと先に進まなければならないのに、通り過ぎたと思って引き返したのだった。

 はがきを2枚書いてから宿へ戻った。戻ってきて気づいたが、宿の前を少し進んだ場所にもパブがあったのだった。こちらの方が近くて気楽だったかも。尤も、ごく新しいパブに思えたのであまりムードはなさそうだった。

 宿に戻ると、主が出てきてオーストラリア人の客が着いたと言う。どうやら風呂に入っている様子。開いたので入りにいこうとすると、ポットを持って水を汲みに来た男性と鉢合わせしたので、先に行って貰った。この宿は、風呂の他にシャワーもあって、今回泊まったうちで一番ちゃんとしていた。ただし、風呂の雰囲気はかなり変で、オレンジのモダンな内装だ。

 その夜妙な夢を見た。「死んで生き返った夢だった。」とメモに書いてあるが、あまりに簡単な記述過ぎて今となっては全く思い出せないのだった。

 

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